どうも皆さんこんにちは。管理人の本城あおいです。
本記事は2021年夏に公開された『竜とそばかすの姫』のキャラクターを演じる声優に関する記事となっております。
この作品はメインキャラクターの声優を、本職の声優さんではなく「俳優、モデル、歌手」などの方々が務めており、賛否両論を巻き起こしています。
そんな作品を、「フリーではあるものの、声優として一応普通の方よりそこそこ知識と経験があると自負している私」が、感想と解説を書かせていただきました。
「既に見終わった」「気になっているけど見ようか迷っている」といった方など、幅広く楽しめる記事となっておりますので是非最後まで見ていってください。
記事を見る前に注意点↓
- 物語の中枢に関するネタバレは書いてはいませんが、構成上、多少のネタバレが含まれるかも知れません。「絶対にネタバレ知りたくない!!」という方はブラウザバックをお願いいたします。
- あくまで個人の1感想であり、作品の名誉や出演者を否定、攻撃や批判する記事ではございません。
- 作品のストーリーに関する内容は別の記事で触れていますので、詳しくはこちらをご覧ください→【※ネタバレ有り】竜とそばかすの姫 を観てきた感想、考察
以上の注意点を御理解の上、本記事を見ていただくようお願いいたします。
メインキャラクターの声優紹介
すず/ベル:中村佳穂
中村さんは主にアーティストとして活動しており、今回の作品が声優のみならず演技するのも初とのことです。
本作の歌は中村さん本人が歌っており、細田監督から歌だけでなく主役として異例の大抜擢されました。
竜:佐藤健
謎に包まれた「竜」を演じるのは言わずも知れた超人気俳優の佐藤健さん。
当初、誰が演じるのか発表されていませんでしたが、発表されたときは非常に話題になりました。
しのぶくん(久武忍):成田凌
主人公の幼馴染しのぶくん役は、近年人気急上昇中の若手俳優成田凌さんです。
声優としては過去に『君の名は』や『ワンピース』などの映画に出演したこともあります。
ヒロちゃん(別役弘香):幾田りら
主人公の親友役は、2020年に大ブレイクした「YOASOBI」のボーカル幾多りら(ikura)さんです。
これまた主人公に続き本作が演技初という大抜擢となりました。
ルカちゃん(渡辺瑠果):玉城ティナ
主人公が通う高校のアイドル、ルカちゃんを演じるのは、モデルに女優と大活躍の玉城ティナさんです。
こちらも本作品が声優初挑戦となりました。
カミシン(千頭慎次郎):染谷将太
お調子者役のカミシンを演じるのは染谷将太さんです。
過去、細田守作品には『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』にも出演しており、細田監督と非常に相性が良いことが伺えます。
「竜とそばかすの姫」声優陣の感想、評価
キャラクターもおさらいできたことなので、実際のところ声優としてはどうだったのか、完全に独断と偏見、それと一応声優目線で書かせていただきます。
すず/ベル:中村佳穂
- 正直上手くはない、最初は違和感がある
- しかし、「すず」と「ベル」の差を出すためと考えると、あり(ベルの歌が抜群に良いので)
- 終盤に行くにつれて慣れるとかではなく、どんどん上手くなっていくので気にならなくなってくる
といった感じですね。
ストーリーが進むにつれて成長していくすずと重なるように、中村さんもどんどん演じることが上手くなっていくので、そこがいい感じに交わった結果、普通にありでした。
もし細田監督がこれを狙ってキャスティングしていたのなら流石の一言です。
竜:佐藤健
- 公開前から触れこんでいた割に、特に印象に残りませんでした
特に違和感を感じなかったので、普通に上手かったんだろうなと思います。
そもそも竜自体があまり喋らない、キャラ自体の癖が強いので雰囲気が合っていればそれでいい、という感じなので佐藤健さんである必要も特になかったのかなと思います。
私は電王時代から佐藤健さんの大ファンなんですが、竜が喋ったときも「きゃあああ健うううう」とはならなかったですね・・・。
カミシン(千頭慎次郎):染谷将太
- メインキャスト陣の中で、頭一つ抜けて抜群に上手かった
- 声優と俳優、両方の良いところを持った絶妙な演技
- 神木隆之介さんと並ぶ声優もこなせる俳優のトップ
さあ、今作品の真打ちの登場です。
いや〜文句無しで抜群に上手かったですね。最初に聞いた時「誰だこの人は!?」と驚愕し、エンドロールで染谷さんだと気づきました。
過去に2作品声優として参加しているだけあって、アフレコ現場にも慣れているんだとは思いますが、それにしても上手かったです。
しのぶくん(久武忍):成田凌
- 低くていい声なので最初は「お、良い声!」となる
- しかし途中から段々と辛くなってくる
- 主人公のすずの名前を呼ぶ時が全部「すずァ」
- 声だけでいい声、イケメンを演じようとしている感が伝わってきすぎて恥ずかしくなってしまう
- アフレコ経験初めての人がやりがちな(私もそうでした)声だけの演技が最後まで続いた
今回のキャスト陣で一番「ちょっと・・・」となってしまった方の登場です。
しのぶくんが、最後まで特に何の役割もない役どころだったのと相乗効果で、一番聞いていてキツかったです。なぜこうなった・・・。
その他
ヒロちゃん(別役弘香):幾多りら
ルカちゃん(渡辺瑠果):玉城ティナ
(合唱隊)吉谷さん:森山良子、喜多さん:清水ミチコ、奥本さん:坂本冬美、中井さん:岩崎良美、畑中さん:中尾幸世
すずの父親:役所広司 合唱隊
- 上記の方々は特に違和感はありませんでした
- 幾多りらさんは、初声優にもかかわらずセリフ量も多いのに非常に良かったです
- 玉城さんも初めてなのに特に気にはなりませんでした
ここらへんの方々は普通に良かったです。とても自然な演技でした。
なぜ最近のアニメ映画は本職ではない、俳優女優、歌手を使うのか
アニメ映画が公開になる度に、毎回議論されるテーマです。
例えば、ジブリ映画の宮崎駿監督は対談の中でこう言っています。
さらに、細田守監督は「バケモノの子」を公開した時に、早稲田大学の講義でこう言っています。
その他にも、メディアに露出が多くアニメをそんなに見ない一般層へのPRに効果的なので、俳優や女優、アーティストを使っている面もあるとは思います。
以上のような最近のアニメ事情から、実は声優業界でも「自然な演技、自然な声」というものが評価される流れがきています。
声優の声は切れ味が鋭すぎる日本刀みたいなもの
養成所の講師や業界関係者は、声優の声を切れ味のいい刃物に例えることがよくあります。
毎日の発声練習や滑舌、表情筋、喉のコンディションを整えるなど、声優という職種はもはやアスリートの一種であると言っても過言ではありません。
そんな達人たちが繰り出す声、は切れ味が良すぎるのです。
切れ味の良い包丁で切られた野菜はたしかにきれいですが、ちぎられた野菜と比べると少し機械的で整い過ぎて見えます。
これが「違和感」で「現実味」がないという表現をされます。
私達が普段生活をしている中で、声がうまく出なかったり滑舌が悪くなる瞬間があります。
しかし、声優さんはそんなミスはせず一刀両断するので断面はつるつるです。
その断面を見て「切れ味が良すぎて機械で切ったみたいで味がないな」と思う人がいるのは、何となく分かるのではないでしょうか。
アニメ映画の監督はつるつるではなく、グズグズの断面が現実っぽくて本物っぽいと思っています。
なので、演技に関してはプロでも、声優としては素人である役者さんをあえて使います。
役者さんなどは演技に関してはプロですが、声や滑舌などは普通です。たまに声が詰まったり滑舌が悪くなる瞬間もあるでしょう。
しかしそれこそが現実味があり存在感があり、リアルであると評価されるわけなんです。
今回映画を見ていると、津田健次郎さんや森川智之さん、宮野真守さんなどの人気声優さんも出演されていました。
皆さん案の定抜群に上手かったので、メインキャスト人との切れ味の差が気になってしまった方もいるのではないでしょうか。
私はすごく気になりました。←
終わりに
というわけで、『竜とそばかすの姫』の声優関係の感想、評価を書かせていただき、なぜ本職声優以外をキャスティングするのかということにも触れさせていただきました。
評価サイトなどを見てみると結構両極端な評価に分かれているようですが、それにはこうした声優に関する評価も含まれているのではないでしょうか。
私個人の意見としては、今回の作品のような本職以外の方を声優として使う流れには賛成ですが、最低限のラインはクリアしておいて欲しいな、というのが正直な気持ちです。
作品全体に関する感想も別記事で詳しく書いているので良かったら見てみてください→【※ネタバレ有り】竜とそばかすの姫 を観てきた感想、考察
というわけで、今回は以上になります。最後までご視聴いただきありがとうございました。
もしよろしければ、皆さんの声優に関する感想をコメント欄に書いてみてください。